SENN Project Japanese: クロキジーンズ (Theme magazine, NY)

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2006年06月29日

●クロキジーンズ (Theme magazine, NY)

今原稿・写真を寄稿しているNYのTheme magazineのIssue 4に載せたクロキジーンズという岡山を拠点にしたジーンズメーカーへのインタビューです。

日本製デニムはなぜ80年代後半から90年代前半にかけてそれほど有名になったのでしょうか?
  
DENIMと言えば、当然、アメリカでしょう。でも、アメリカのデニム生地は、空気精紡と言われるオープンエンド糸で作られていました。日本では、カード糸(リング精紡)で作られていました。製品でストーン洗いなどが登場して来た時に、オープンエンド糸で作られたジーンズは、ムラ感であったり、通称「アタリ」と言われるものが芳しく出ないのです。逆にイラツキ感だったり、クリンクル感だったりが出ます。今、マーケットに出ている感じのものには到底なりっこなかったのです。逆に、日本でのデニムは、まだまだ空気精紡のものもありましたが、NBブランド(リーバイス・EDWIN・ラングラー等々)は、こぞって、リング精紡のムラデニムを使用していました。製品をストーン洗いとかバイオ洗いとかバレル洗いとかで、ムラ感を強調したり、風合いを出したりしていました。

もともと空気精紡は、綿の繊維長の短いものとか繊度(綿の細さ)があまり細くないものを利用して作る方式で、昔のリーバイス501なんかがそうなります。20~30$で売られていましたよね。

結論として、品質が良いのは当然として、製品の洗いが台頭して来てから、日本製のデニムが輸出に傾倒したと思われます。

何が日本製デニムを特別なものにしているのでしょうか?

糸に関しては、例えば、リーバイスのヴィンテージものの製品を見て、それの糸形状を紡績技術を駆使して真似たり、洗い上がりの風合いのために、糸の撚り回数を調整したり、ここまで拘るかと言えるほどやることです。

色に関しては、インディゴの色はネイビーだと言えばそうなのですが、赤系のインディゴ、黒系のインディゴ、青系のインディゴ、グリーン系のインディゴ等々と様々な色を生み出していきます。
  
また、原材料の綿に関しても、アメリカ・メキシコ・インド・アフリカ諸国・中国・パキスタン・ブラジル・その他いっぱい。

様々な国の綿を吟味し、柔らかい糸を作るには、どこの国の綿が良いとか、バルキー性の強い糸を作るにはどこの国の綿が良いとか、綿にまで拘りを持ってやっています。
  
そういった、拘りの部分は当然ですが、生地の品質管理は、徹底しているので、それを使用する縫製メーカーは、生地に不良に関するロスが非常に少ないと思われます。例えば、中国であったり、インドの生地を買うと、インディゴの色目が何色もある生地が納入されます。でも、それは、同じ品番なのです。10,000yds買うと、その中にいろいろな色目が存在するのです。同じ商品を作るつもりでも、違った色目のジーンズが何色もできることになります。日本の生地では、そういうことはまずありえません。10,000yds買っても、全部許容範囲に入る色目の差のものが納入されます。また、生地不良もあまり発生しません。製品を生産する人にとっては、ロスの少ない、問題も少ない生地が良いのは事実です。

また、輸出納期を厳守するのも日本ならではでしょう。他の諸外国には納期という観念があまりないですから。

なぜshort loom(旧式の32インチ織機で作られたデニム)とdry handもしくは Dry Touch(ビンテージデニムを模した加工)という言葉が日本製高級ジーンズにとって重要なのでしょう?

シャットル織機で織ったものが良いと言われるのは、これは単純に「神話」「宗教」と言っても良いのではないでしょうか?リーバイスのヴィンテージものが、たまたまシャットル織機で織った生地を使用し(その当時は、その織機しかなかったはず。)、たまたま生地の耳をジーンズの両サイドに使用していた、もっと言うと、たまたま縫製に使用する縫い糸の色が部分部分で違ったり、それは意図して作られたものではないと思われます。耳サイドを両脇に使用したのは、耳部分は、まっすぐなので、わざわざ裁断しないでも、そのまっすぐ部分を両脇に使用しただけでしょう。効率も考えたのでは?

縫い糸の色目が違うのは、たまたま、同じ色目の縫い糸が無かったので、それで縫ったのでは?と考えます。でも、織機は革新的に進歩し、スピードアップし、織り傷が発生しないように、タテ糸をパンパンに張って針金のようにまっすぐしたもののヨコにものすごいスピードで織り上げる様な仕様になっています。定規で引いたような綾目のデニムになります。ペーパーライクとでも言えますが、表面も裏面もフラットなのです。それが、シャットル織機の場合は、タテ糸のテンションも緩く、ゆっくりヨコ糸を織っていくので、表面も裏面も凸凹した生地になります。膨らみも出てきます。

みなさんがこれを膨らみとかボリュームとか「味」といわれます。中国でもこのシャットル織機を使った生地が作られていますが、13~15オンスのものはまだ出来ていません。織機の構造上の問題もあるようです。また、彼らはどんどん織って、安くたくさん販売することを考えているので、昔の織機で、ちんたら作ることはバカバカしく思うのではないでしょうか?日本でも、織機はスピードアップすることを目的に  織機メーカーは邁進しているのに、旧式の織機でちまちまと織ることに首を傾げていると思いますよ。

でも、世界に出てみると、シャットルで織ったセルビッチデニムは、日本を代表する生地であることには間違いないです。

ジーンズ市場において、日本製デニムの成功におけるターニングポイントは何であったのでしょう?

1)の問いに近いですね。また、2001年~2002年からプレミアムジーンズが台頭してきましたが、これの牽引は、間違いなく、日本の生地ですね。また、欧米のデニムオタク(ジーンズの好きな人)と言われるアパレルのデザイナーが、日本のエビス・45RPMの製品を購入したり、履いたりしていて、カッコいいと思っていたのです。その年齢の人が生地ピックアップのポジションにいたり、デザイナーであったりするのです。30歳~40歳後半でしょうね。日本のブランドの製品を目にしてきた人達です。プレミアムジーンズの中では、1番日本デニム、2番イタリアデニム、3番トルコデニムらしいです。

ただ、プレミアムジーンズのブランドもコストのことを考え出したので、日本の生地ばかりを使用することは無くなりました。

何故進化の必要性があるのでしょう?

デニムは、ファッションの中で特殊な存在で、あらゆるシーンに登場しますよね。ものすごく安いものとして捉えられてきたのですが、$200~$1,000もするジーンズが出てきているように、フォーマルなパーティーでも着られています。今まででは考えられなかったことです。飽くなき探究心を持って、生地を作る人も製品を作る人も何かに向かって進むはずです。中には、昔のリーバイスを追う人もいますが、これから数十年後にビンテージの店で、$1,000,0000で売られるような商品を作ろうかと思っている人もいます。ジーンズだけでブランド展開している人は、進化しなくてはダメなのです。
  
エビスやG-star、PrpsやRed monkeyといったブランドが高価にも関わらず成功してきました。その理由は何にあるとお考えですか?

拘りの部分をマーケットが受け入れたと言えば簡単ですが、みんなと同じものを着たくない人が増えたと言えます。個人の趣味趣向がバラバラになってきているのです。$20~$30のウオールマートで買ったリーバイスではダメなのです。

自分は、違うぞというジーンズを履きたいのです。PRPSは、弊社デニムを中心に使っています。しかも、日本縫製・日本での製品洗いをしています。プレミアムの中のプレミアムジーンズになっています。HIRO MORISEの商品も日本生地・日本縫製日本での製品洗いです。どこかを他社と違った物づくりをしたいのです。

日本製デニムはアメリカのデニム市場に大々的に切り込んでいくのでしょうか?

2005年度の後半は、日本生地の輸出もスローダウンしましたが、細やかな対応であったり、新しい生地提案であったり、日本のデニムは様々なブランドに浸透していくはずです。大きなブランドではなく、小さなブランドも少量でも日本デニムを使用するようになっています。日本デニムを扱う人もアメリカで増えて来ています。いままで扱ってなかった後発の日本の会社(商社・生地屋)でも、アメリカマーケットに向かって、どんどんプレゼンを始めています。弊社あたりにも、「アメリカでお前の生地を売ってやる。」と言われる会社が多々ありますが、既に何年も前からアメリカで生地を売ってきている弊社によく言えたもんだと思いますが。
  
日本製デニムは高級デニム市場以外のデニム市場においても通用すると思いますか?

日本製デニムは、GAPとかでも使用しているので、そこそこの低価格ゾーンでも可能ですよ。OLDNAVYもありますよ。プレミアムジーンズの登場以前は、そのあたりの市場がメインでしたよ。GAP等々が価格の安い生地をと言ってきたのが、ここに来て、そこそこ高くても日本製生地を使用してきています。でも$3~$4.5/ydの生地でしょう。

日本製デニムの流入が高級デニム市場の隆盛を維持していると見られていますが、高級デニム市場において、次にきたる進化は何だとお考えですか?

  A)マテリアル(コットンの質)の進化
  B)織りのテクニック。組織変化。
  C)異素材の導入。(ポリエステル・ナイロン・金ラメ等々)
  D)インディゴの色目の変化

殆どのデニム市場が生のデニムに注目していますが、日本のデニムは生のデニム地の方が履き心地がいいのでしょうか?それを上手く説明できる理由はあるのでしょうか?

履き心地で言えば、製品で洗ったものの方が柔らかくていいのではないでしょうか?もともとのオタクは、生(織り上がった生地そのまま)で何年も履きこんで、「味」を出したものですが、昨今は、5年履き込んだようなものを製品洗いで表現して商品化していました。それが、若干、もとに戻っている感じがありますが、製品での洗いは絶対無くなりませんよ。ここでまたまた、個人の趣味趣向が細分化されるはずです。生の好きな人もいれば、ガンガン洗ったものが良い人もいるはずです。

でも生で展開する場合は、女の子で言えば、すっぴんで街へ出る訳ですから、ベースが良くなければなりません。そこで、マテリアルであったり、色目であったりが重要になってきます。生(リジット)は、自分のジーンズを自分で作りあげることが出来る部分にメリットがあります。ただ、濃いままのデニムを小奇麗なジャケットに合わせることが良いとかもあります。
 
信頼性と技術がこのジャンルにおける鍵と思われます。その点において、なぜ日本製デニムは高い品質を保ってきたのでしょう?

トヨタ自動車がそうであり、松下電器がそうであるように、均一な商品を品質を維持したままに作りあげることを目的にやてきていることでしょう。納期の観念もそうですよね。日本気質でしょう。

リーバイスがジーンズを作り出しました。誰がそれを仕上げるのでしょうか?

現在は、低価格なものは、グアテマラのKORAMZA(コラムザ)が縫製洗いをしているはずです。高価格ものは、LAで一部洗っていますよ。でも、リーバイスでは、価格の天井があるので、思った以上のものはできないのでは?